暮らしに引き継ぐ想い
家づくりをスタートするとき、建て替えのご相談をいただくと、私たちはまず「現在のご自宅」にお伺いしてお話をさせていただきます。
敷地条件を把握することとは別に、今のお住まい方や、新しい家へのご要望を伺っていくわけですが、長く愛着を持って暮らされてきた家だからこそ、よくお施主様から相談されることがあります。
「この家にある『これ』、何かに形を変えて、次の家でも使えませんか?」
その中で、深い愛着を感じるのが、「和室の造作(床柱、建具、欄間など)を、違う形でもいいからどこかに使ってほしい」というオーダーです。
ただ、床柱をそのまま床柱に再利用することは非常に難しいということがあります。
床柱には、周囲の部材(落とし掛けや床框など)が横から噛み合っていたため、取り外すとボコボコと穴(仕口)が空いてしまっています。
また、傷をつけないよう慎重に取り外すのですが、柱の上下がしっかり埋まっているため、どうしても短くカットして抜き出すことになります。そのため、新しい家では「高さが足りない」という問題も出てきてしまうのです。
「じゃあ、諦めるしかないの?」
いいえ、そんなことはありません。私たちは形を変えてご提案をしています。

和室の押し入れを吊押し入れとして、上下のスペースに欄間を入れ、間接照明を配置することで、欄間の装飾が綺麗に浮きあがりました。
下の段の欄間を固定するのに、既存の床柱も利用しています。
こちらは別の事例です。

既存家屋1階屋根の桁に使われている立派な丸太で、想いも聞かせて頂いたので、ある程度シンボル的に使いたいと思いました。
玄関とホールの「空間を仕切る」という明確な目的を果たしつつ、インテリアの一部として美しく調和しています。
建て替えは、古い家を壊してすべてを新しくすることだと思われがちです。
しかし私たちは、お施主様がその家で過ごしてきた時間や、ご家族の思い出も一緒に次の住まいへ連れていきたいと考えています。
「傷があるから」「形が合わないから」と諦める前に、ぜひあなたの大切な家の「これ」を教えてください。職人と設計士が知恵を絞り、新しい暮らしにぴったり馴染む住まいをご提案いたします。