「終の棲家」を考える
こんにちは。
デザオ建設 営業担当の森井です。
最近の楽しみは、下鴨神社で行われる「蛍火の茶会」です。
社会人になってから友人の伝手にこのイベントを知りました。
私はお茶席には座らないのですが、この季節の夜、糺の森に飛び交う蛍を眺めるのが好きです。
実際には眺めるほどの蛍はおらず、いつも「蛍を探す」会になってしまいます!
先日から関西も梅雨入りをしましたが、運よく晴れてくれればと思います。
そしていつか、あのお茶席に座りたいなと!強く思っています。
お茶室といえば、
先日、春先に引渡しをしたお茶室のある住宅の撮影に同行いたしました。
改修工事を繰り返しながら大切にされてきたお住まいを「終の棲家」として建て替える計画で、私にとって大変思い入れのある建物です。
今回は、こちらの建物をご紹介しながら、「終の棲家」の計画に携わる中で私が感じたことを書こうと思います。
これから終の棲家を計画される方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
本物件のお写真は近日公開予定!
乞うご期待!
健康で安心して暮らすこと
お施主様が「終の棲家」の計画で最も重視されたことは「健康で安心して暮らすことができる住まい」にすることです。
近年頻発している災害への不安視、また、敷地内に大きな高低差があることも重ねて「将来を通して安心して暮らせる家にしたい」というのが1番のご要望でした。
当初、デザオ建設からは平屋と2階建ての2つのプランを提案しました。
敷地の中で高い部分のみを利用し2階建てにするプランと、高低差のある低い部分までせり出した平屋のプランです。
2階建てのプランの方がコストとしては抑えることができたのですが、せっかくの新築でコストがかかってもこの土地にふさわしい建て方をしたい、とのお施主様のご意向で、将来を見据えた暮らしやすさと計画地からみえる借景を存分に生かした平屋の計画で進めました。
健康に暮らすためには、生活の中で「不自由なく動き回れること」が大切です。
玄関戸を含め建物内部のドアはできる限り引き戸とし、これまでのお住まいと同じく京間(メーターモジュール)の寸法で廊下幅をしっかりと取って計画をしました。
また、外構計画も全てを階段にするのではなく一部をスロープにして手すりを設けて、安心してお庭に下りることができるよう、ご要望いただきました。
将来の衰えに備えるとは、設備で生活を囲み行動範囲を狭くすることではなく、「動ける範囲をできる限り残すこと」なのかなと思います。
歳を重ねても自分でできることをできるようにしておく、そんなご夫婦の強い意志を打ち合わせでは度々感じました。
これまでの暮らしを振り返り、愛着のある暮らしを遺すこと
設計計画のほとんどはお施主様のご自宅に伺い、打ち合わせを行いました。
天気が良ければ淀の花火大会が見えること、ご家族のご趣味のこと、これまで改修工事を重ねながら住まわれてきたご自宅のこと。
今の暮らしについて嬉しそうにお話をしていただきました。
打ち合わせでは、最初に、新しい家でも引き続き使いたい家具の寸法を取らせていただき、それをひとつずつ図面に反映しました。
今の生活から引継ぎたいことや反対に不便に感じていること、それらから新しい暮らしを考えることで、実際の生活を想定した現実的な打ち合わせができたように思います。
計画では、これまでのご自宅と同じく京間(メーターモジュール)の寸法を取り、もともと縁側のあった場所にはウッドデッキを設け、南西に広がる借景を活かす計画を提案しました。
当初はそのほとんどを撤去する予定だったお庭の植栽も、最終的には新しい家にも引継ぎたいと仰っていただき、移植をしながら遺すことができました。
終の棲家について考えることは、自分自身が本当に好きな場所、好きなもの、好きな時間は何なのか、これまでの人生を振り返る機会になります。
今回の計画では日当たりの良い南側の縁側であった場所が特にお気に入りで、植栽を眺める時間、お茶の時間、料理の時間、読書の時間、ご家族それぞれにお好きな時間がございました。
暮らしの中で何を大切にしているのか、どんな暮らしをしたいのか。
暮らしの中で愛着を持たれていることを、まずは作り手に共有すること、
そして今の暮らしを丁寧に掬い上げ、遺すものを選別したうえで、新しい暮らしかたを一緒に広げていくことが大切だと感じました。
建物の紹介
私の好きな場所を少しだけ、お見せします。

骨材の多い、水平のラインを強く出した塗り壁を採用。左官って本当に美しい。
波を打つ壁が、南の居間へ誘っている。

特徴的な形をしたダイニングテーブルは新居を機に新調されたもの。そのほかの家具は前のご自宅やご実家から持ち寄られたもの。
新築した建物よりも生活を一緒にしてきた家具の方が、暮らしを良く知っているのかもしれない。

奥様のご趣味のお茶室。
ご主人とお子様の共通の趣味である「おさかな」が襖引手としてお茶会に顔を出す。

もともとお庭にあったものを飛び石としてお茶室への路地を形成。
職人方の心いきか、奥に向かって小さな石になるように並べていて、ちょっとした遠近感を出している。
最後になりますが、この計画が建築の仕事をはじめていただいたご相談でした。
先輩である設計士、インテリアコーディネーター、現場監督の建物に対する向き合いかた、良い建物を建てるための過程を学びました。
建物の仕事はかっこいいですね。
また、このような素敵な計画に携わることができたこと、お施主様とのご縁には大変感謝しております。
ブログというよりも私の備忘録のようになってしまいましたが、本日はここまで。
次回も乞うご期待!
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